チャップマンの船の設計図

7/06/2012



18世紀のスウェーデン造船技師F.H.チャップマン(Fredrik Henrik Af Chapman)による船の設計図。1768年に出版されたもので、当時スウェーデンの王室科学研究員だったチャップマンが実在した62の船の設計図を書き、銅版印刷されました。こちらは1957年に再版されたもの。(こちらは銅版ではありません)彼は、当時の造船が経験を基にしていたのに対し、造船技術に流体力学、構造力学など科学的な視点を取り入れた最初の人でした。

スウェーデン・バルト帝国と呼ばれていた当時のスウェーデン。大北方戦争の最後の年の1721年、港町ヨーテボリでチャップマンは生まれました。父は海軍大佐でした。当時は絶対的な権力だったカール12世が亡くなり絶対王制が崩壊、立憲君主制が始まった頃。この背景は文化、学問、政治的に自由な風潮をもたらし、特に科学面でめざましい発展がみられました。スウェーデンの歴史的の中で Age of Libertyと呼ばれていた時代でした。

若い頃に造船技術に科学を取り入れる事を決意したチャップマンは、23歳の時3年間ロンドンに渡り造船を学びます。スウェーデンに戻り仲間と造船所を設立した後、スウェーデンのルンドとロンドンで数学を学び、イギリス、オランダ、フランスなどの造船所で、軍艦の構造を学びます。1757年、スウェーデンの国王が彼をスウェーデンの軍艦造船副責任者として雇い、36歳の若さで王室科学研究員となりました。彼の研究員としての成果のひとつがこの設計図集「Architectura Navalis Mercatoria」。これにより彼は世界的な造船技師としての地位を築きあげたと言えます。

熱心な研究により設計された船は、デザイン、流体力学、構造力学などに優れ、どんな風圧にも負けず、より安全でより早いスピードで航海したと伝えられています。ふちが褐色に日焼けした設計図。細やかなラインが美しく、額装しても良さそうです。    size 21cm x 33.5cm

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